地図の必要性

今では、細かい山の地形を知り尽くしている猟師さんも高齢化が進んでおり実際に案内してもらえる機会は激減しています。

狩猟は登山と違い、道なき道を進むことの方が多く、実際に狩猟初心者は山で迷子になることも珍しくありません。

巻き狩りでは多人数で猟をするので、1人迷子者がでると全体に迷惑が掛かるだけでなく、大変危険な滑落事故につながりかねないことになるため、身の安全のためにも地図は重要なアイテムとなります。

ハンターマップ

狩猟経験の長い猟師は、山に入っても迷うこともないですが、狩猟が初めての人やそもそも山登りすらしたことのない人にとって地図は必須です。「山は歩いて覚える」「地図なんか見ても役に立たない」という意見は賛成できる部分もありますが、せっかく地図があるのであれば、これを上手に利用しない手はありません。紙の地図であれば持ち歩きながら見開くのも大変ですが、スマホであれば携帯も楽です。

ちなみにハンターマップとは一般的に狩猟ができる地域が記載された各都道府県が発行する鳥獣保護区等位置図のことで狩猟登録をした時に送付されますが、この地図はあくまで保護区を記したもので、山歩きに利用する地図ではありません。

東京都のハンターマップはこちらから

ここでは狩猟する上で山に入るときに利用できる地図のことを指しております。

地図を利用する前に

昔、「話を聞かない男・地図が読めない女」という日本で200万部、世界で600万部をこえるベストセラー本がありました。内容は全く違うのでが、現在は「地図の読めない男」が非常に多いと感じることがあります。ナビゲーションシステムが良くなりすぎて地図が読めないのではないかと考えています。

道路であれば「そこを右折です」とナビゲートしてくれますが、狩猟では地図にある道はほとんど意味をもちませんし、登山ルートでもないので猟師が配置につくタツマへとナビゲートはしてくれません。

北がどちらなのか?どこが尾根でどこが沢なのか?が最低で理解できるようになりましょう。

太陽や影を見ればおおよその南北はわかりますし、およその南北がわかれば地図の方向がわかり、さらに等高線を見れば、尾根と沢がどこにあって、どこが急で、どこが緩やかなのかもわかるようになりますので、どの方向に進むと危険かなどの危険予知や回避にかなり役に立ちます。

更に、GPS機器で猟犬の位置を追える機器をお持ちであれば、鹿や猪がどのような動きをするのかも勉強できます。是非、「地図を読める人」になってください。

笑い話で狩猟にきていきなり、地図の下方向に猟犬が向かうのを見て「猟犬が山を下ってます」なんて言わないように等高線の見方だけでも勉強してから山に入りましょう。

脱線しますが、よく年輪の幅が広いほうが南ということを言う人がいますが、これは全く当てになりません。理由は色々ありますが、実際に見て違っていたので信憑性はかなり低く、信じると大変危険です。

スマホ世代の地図利用

携帯電話やスマホが普及し、GPS機能がほぼ搭載されている現代では、地図アプリは登山に有効なアイテムですが、狩猟に使うとなると「帯に短し襷に長し」で利用できるアプリが限定されてきます。

狩猟で必要な項目は
 ・現在の位置がわかるもの★
 ・地点登録ができ名称や画像が記載できるもの★
 ・高圧線・鉄塔など地域の名称よりも構造物が記載されている地図
 ・等高線が細かく表示されている地図★
 ・電波の届かない場所でも事前に地図がダウンロードできるもの★
 ・地点の登録データがダウンロードでき他の人と共有ができるもの
以上と思われます。特に必須要件は★をつけています。

オススメのスマホアプリ

スーパー地形

ご紹介するのは、地形を感じる地図アプリ
「スーパー地形」です。

断面表示など一部有料の部分もありますが、狩猟で使うには無料部分で充分すぎる機能です。

先にあげた機能はもちろんですが、地図が豊富に選べます。地点登録も名称や写真が入れられます。主な機能は下記の通り

・2018年度日本地図学会賞作品賞を受賞しました。
- 独自の技術で地形を強調した「スーパー地形データ」が使える。
- 国土地理院の地理院地図、地形図、地質図、古地図、今昔マップ、戦前地形図(陸地測量部)などが使えます。
- GPS機能によりトラック(軌跡)の記録ができます。GPXログ入出力、編集機能もあります。
- GPSナビゲーション(音声付き)、データの記録・編集など、街歩きや、登山、アウトドアをサポートする機能を搭載。
- 断面図の作成や展望・無線などに利用できる見通し判定機能があります。建物も表示できます。

YAMAP(ヤマップ)

こちらは登山者との情報共有に特化しているので、これだけで狩猟にいくには厳しいですが、なんといっても、このアプリを利用した人の登山ルートが見れるのが最大のメリット。

山は年月と共に、がけ崩れなどでルートが変わりますし地形や植林位置も変化します。

こちらのアプリはメリットは、人が利用したルートが見えるため迷った場合に、そのルート方向を頼れば下山ルートなどが発見できる点です。

何回が利用してみたのですが、狩猟にしか使わないルートを結構つかっている登山者がいて非常に参考になりましたので、ご紹介しておきます。